音声認証、タブレット、おすすめ商品の表示。これらの技術は、現代では当たり前のように使われています。しかし、17年前はこれらが日常生活に登場するとは予想していませんでした。
将来、技術が発展して未来に起きる殺人へ逮捕する制度が出来たらみなさんはどうしますか?
2002年公開『マイノリティ・リポート』は技術の発展や、最新技術を利用した犯罪捜査に対して疑問を投げかけます。
映画『マイノリティ・リポート』の概要
- 公開:2002年
- 上映時間:145分
- 原作:フィリップ・K・ディック『少数報告』
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 主演:トム・クルーズ
主演は『ミッション:インポッシブル』シリーズで有名なトム・クルーズです。『ミッション:インポッシブル』程ではありませんが、作品内でハードなアクションをしていますよ!
監督は、『ジュラシック・ワールド』や『インディ・ジョーンズ』などを始め、数々のヒット作を担当したスティーヴン・スピルバーグです!豪華な組み合わせですよね!
『マイノリティ・リポート』の出演キャスト
トム・クルーズ(ジョン・アンダートン 役)
『ミッション:インポッシブル』シリーズで有名ですよね。個人的に映画の撮影中に足を骨折した動画は驚きました。『ラストサムライ』『宇宙戦争』など多くのヒット作で主演。
コリン・ファレル(ダニー・ウィットワー 役)
アイルランド出身の俳優。『ファンタスティック・ビースト』の第1作に闇払いとして出演していました。私は第1作を見たのですが、全く気づかず過去の出演作品を調べて初めて知りましたね。
サマンサ・モートン(アガサ 役)
イギリス出身の俳優。なんとこの方もコリンと同じく『ファンタスティック・ビースト』に出演していました。魔法の根絶を主張する組織のトップ役です。その他2012年公開『ジョン・カーター』等に出演。
マックス・フォン・シドー(ラマー・バージェス局長 役)
スウェーデン出身の有名俳優。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『ロビン・フッド』等多くの映画に出演しています。ホラー映画の代表作『エクソシスト』では悪魔をはらう神父役を演じていました。
ロイス・スミス(アイリス・ハイネマン博士 役)
アメリカ出身の俳優です。『デスパレートな妻たち』などドラマを中心に多くの作品に出演しています。
『マイノリティ・リポート』のストーリー
2054年のワシントンD.C。犯罪予防システムのジョン・アンダートンは、子どもを誘拐された経験から犯罪を防ぐことに力を注いでいました。一方で彼は、息子や妻の思い出フィルムに浸り、麻薬で精神を保つ状態。
彼の元に司法省のウィットワーが調査に来ます。彼を案内するため、アンダートンが予知能力者プレコグの部屋にいると、プレコグの1人アガサが、アンダートンに「あれが見えるの?」と尋ねました。
アンダートンがプレコグのイメージを確認していると、自分が殺人をする映像が。被害者は「リオ・クロウ」。未来殺人者として彼は同僚から指名手配されました。
アンダートンは本当に「リオ・クロウ」を殺してしまうのか?そして、アガサが見たイメージは何を示しているのでしょうか。
犯罪予防システムの「プレコグ」とは?
映画で登場する犯罪予防システムのプレコグ。犯罪予防システムの考案者であるハイネマン博士は、プレコグの特徴について次のように説明しています。
- 麻薬常用者の親から生まれた子ども
- 子どもは脳に障がいがあり、平均寿命は12歳
- 生き延びた子どもは、予知夢の能力を持っている
プレコグのアガサ、アーサー、ダシールの3人で、一番予知夢の能力が高いのはアガサでした。犯罪予防システムは3人のイメージ合成で成立するシステムのため、能力の高い彼女がいない=システムの崩壊を意味します。
また、彼女は残りの二人とは違い「未来を見ることに疲れた」とつぶやいたり、人間らしい一面を持っています。
“マイノリティ・リポート”=少数報告とは?
ハイネマン博士は、プレコグの予知夢について次のように語っています。
- プレコグの3人が見る予知夢は基本一致するが、たまに予知夢が一致しない場合がある=少数報告
- 予知夢が一致しないマイノリティ・リポート(少数報告)は破棄する
- マイノリティ・リポートを破棄するのは、システムが完璧でない疑いを晴らすため
アンダートンが警察に追われている時、彼女はシステムの欠点をあえて彼に伝えました。そして、アンダートンが「殺人をしない未来」のマイノリティ・リポートを探すようにアドバイスをします。
原作と映画版『マイノリティ・リポート』の違い
映画を観た後、フィリップ・K・ディックの作品が気になったので原作の『少数報告』を読みました!ストーリーが異なるため、映画とは違う楽しみ方が出来ます!
映画版との違い①:アンダートンとウィットワーの関係
アンダートンは犯罪予防局の創設者として描かれ、年齢は50代~60代と想像できます。ウィットワーは彼の後任として登場します。しかし映画で彼は、アンダートンと敵対する司法省の役人でした。
また、映画でアンダートンは子どもを誘拐された麻薬常用者、さらに妻のララとは誘拐事件の後別居しています。しかし、原作では犯罪予防局に勤める妻のリサのみ登場し、子どもに関する記載はありません。
映画版との違い②:プレコグの設定
原作のプレコグの特徴をまとめると、次のようになります。
- 頭が大きく、体が小さいため外見がアンバランス
- 予知能力が飛びぬけて優れているが、身体的、精神的に成長が遅れている(プレコグの1人ドナは、45歳ですが外見は10歳の子ども)
- 3人とも実際は植物人間状態
映画ではプレコグ出生の秘密が明かされます。こちらは後ほど説明します。また、原作のプレコグは外見が不格好で感情がない機械の印象を強く受けます。
映画版との違い③:バージェス局長、ハイネマン博士は登場しない
原作を読むとバージェス局長とハイネマン博士は登場しません。代わりに「レオポルド・カプラン」という人物が登場します。アンダートンが殺害すると予知された人物がこの「レオポルド・カプラン」です。
カプランは退役軍人で、引退後も軍で絶大な権力を持っています。カプランはアンダートンに殺されるという情報をなぜか持っており、先回りして部下にアンダートンを捕えさせます。
カプランが犯罪予防システムの情報をどのように知ったのか、アンダートンがカプランを殺害するのか、ここから先は結末に触れてしまうので、原作を読んでのお楽しみです。
原作者、フィリップ・K・ディックはどんな人?
先述の通り『マイノリティ・リポート』は、フィリップ・K・ディックが1956年に発表した作品『少数報告』が原作です。
原作と映画はストーリが全く異なるので、“原作の設定が映画に採用された”というのが正確ですね。
フィリップ・K・ディックは、原作が5本も映画化される有名作家です。さらに一度映画化されたものが、リメイクされているので根強い人気があります。
この項目では、作家フィリップ・K・ディック(1928-1982)について簡単にまとめました。
- アメリカのSF作家で短編小説家でデビュー
- 原作が映画化されてヒット(例「ブレード・ランナー」「トータル・リコール」)
- 記憶の不確かさ、宇宙、核兵器による放射汚染等をテーマにしている作品が多い
ちなみに『ブレード・ランナー』の原作は、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
『トータル・リコール』は『追憶売ります』という題名で出版されています。英語のタイトルをそのまま訳したと思われますが、作品名が印象に残りますね。
近未来を予想していた『マイノリティ・リポート』
マイノリティ・リポートの魅力は近未来の技術が登場するシーンです!2002年の映画公開時は、実現するのは当分先と思われていました。しかし、一部は実現している技術もあり、そのうち3つを紹介します!
①音声認証
アンダートンが自宅に帰り、部屋の電気をつける時「ライト」と声を出しただけで部屋が明るくなりました。
最近は、Google HomeやAmazon echoなど音声で家電をコントロール出来るようになりましたよね。また、スマートフォンと家電をつなげて、音声指示で家電を動かすことも可能になりました。
②個人に合わせたおすすめ広告の表示
アンダートンが街中を歩いている時、彼のストレス具合を機械が探知して旅行会社の広告が表示されました。また、彼が服を買おうとGAPに入ると、購入履歴を確認して商品評価を質問していました。
現在では、ネットショッピングで購入履歴から類似した商品をおすすめする機能がありますね。また、自動販売機でも、外見から年齢を判断して飲み物を勧める機能がついた機械が駅に設置されています。
③タッチパネル、タブレット端末
アンダートンがプレコグのイメージを確認する時、パネルを触って確認していました。また、警察官はタブレット端末に送られる情報を確認しながら捜査をしています。
2002年はスマートフォンやタブレットは無かったので、現代で当たり前になるとは想像もしなかったです。
『マイノリティ・リポート』への評価・コメント
2002年公開時はトム・クルーズとスピルバーグ監督のタッグで話題になりました。作品への評価は、話題性もあり様々です。
作品への評価
主要な3サイトで評価は次のようになっています。3サイトとも3.5以上で平均以上です。
- Yahoo!:3.63
- Amazon:4.2
- 映画:com:3.5
作品へのコメント
- 映画の中で現在すでに実現している技術がいくつか登場している!
- 展開が予想できず最後までドキドキした!
- 犯罪予防という設定は面白い。
- 見終わってもストーリーに対してすっきりしない。
- 近未来の設定についてツッコミたい。
コメントからわかるように評価は分かれているようです。17年前の映画ですので、現在見直すと当時の近未来技術の考え方に疑問を感じるかもしれませんね。
私は、スピルバーグ監督が映画で登場した技術を17年前に予想し、一部が実現していることに驚きました。監督の先見性が素晴らしいですね。
映画『マイノリティ・リポート』の視聴方法と続編について
Amazonプライムで視聴可能です。今回映画について調べていたら、2015年に映画の続編が放送されていたことがわかりました!続編はドラマ全10話で、有料ですがAmazonで視聴できます。
- プリコグの1人が予知能力を使い、女性刑事と共に犯罪予防に奮闘
- 犯罪予知システムで逮捕された殺人犯たちのその後が描かれる
- 新しい犯罪予知システムが導入された世界での陰謀
映画の続きを見たいという方は、ドラマ版も視聴してください!ドラマでも最新の技術が登場しています!
映画『マイノリティ・リポート』を見た個人的な感想
『マイノリティ・リポート』は、捜査システムの欠点を考えて視聴するのが面白いです!映画では、アンダートンは犯罪予防システムの欠点を利用して、数々のシステムを突破しました。
将来技術が発展しても、最後に決定するのは人間であるため、思い込みや迷いが生じますよね。完璧なシステムでも人間が作るものですから、どこかに抜け道が生まれます。
個人的に、現在当たり前と考えているシステムや技術へ疑問を持ち、その疑問を解決することが大切になると考えています。そのために日頃から普段使用するシステムなど当たり前と思わず、興味を持つことが必要ですね。
ぜひ、みなさんもストーリーだけでなく、映画で使われている技術に注目してみてください!