今回は映画「プラダを着た悪魔」、映画「クレイマークレイマー」で有名なハリウッドスター映画界のレジェンド、メリル・ストリープ(Meryl Streep)の紹介をします。
2019年で70歳を迎えたメリル・ストリープ、20代の頃から様々な映画に出演して世界中を夢中にさせ続けています。
まさに40年以上一線を走り続けたハリウッドスター映画界のレジェンド!30代の僕には「プラダを着た悪魔」のミランダ役が印象的です。エキセントリックでどこかデフォルメされたブラック上司、ミランダ。
しかぁし!「プラダを着た悪魔」だけじゃ勿体ない!本当に沢山の作品でメリル・ストリープは圧倒的な存在感をみせています!この記事ではメリル・ストリープの作品を通して彼女の人生を紹介していきます。
(トップ画像出典:出典:http://www.simplystreep.com/gallery/displayimage.php?album=2922&pid=184357#top_display_media)
メリル・ストリープのプロフィール
- 生年月日:1949年6月22日(70歳)
- 出身:アメリカニュージャージー州
- 身長:168cm
- 父は製薬会社役員、母はグラフィックアーティストと裕福な過程に育つ
- ヴァッサー大学在学中に奨学金を得て、イェール大学演劇大学院で学び、卒業時にはキャロル・ダイ演技賞を受賞した。
高校時代はチアリーディング部に所属していたそうです。168cmの高身長、スラリとしたブロンドヘア、きっと華やかなパフォーマンスでしたでしょうね。
高校卒業後、ヴァッサー大学演劇科に入学します。そして演技をさらに深く学ぶためにイェール大学演劇大学院に入学。
イェール大学演劇大学院はTVドラマXファイルのモルダーことデイヴィッド・ドゥカヴニーも輩出しています。
もともとはオペラ歌手志望でオペラの勉強もしていたそうです。ミュージカル映画でもその歌唱力は評価が高いです。
前回リリー・ジェームズについて調べた時も思いましたが、欧米では「演劇」を「学問」として捉えているようです。
舞台や映画といった現場を重ねて演技を勉強する日本と、体系だった学問として演劇を捉える欧米。認識と意識の違いを感じさせます。
高校ではチアリーダー、そして演劇学校では賞を受賞、そんなきらびやかな学生時代を過ごしたメリル・ストリープ。
栄光に満ちた10代から、70に至る現在まで彼女は一体どんな俳優生活を送ってきたのでしょうか?
メリル・ストリープの膨大な出演作品数!
女優界のレジェンド、メリル・ストリープの出演作品は膨大の一言。
映画に出始めるようになった1970年代から2019年まで、なんとその出演作品は62作品!
1970年代より、メリル・ストリープは映画を彩る女優として一線を走り続けています。正にハリウッドスター映画界のレジェンドです!
- クレイマークレイマー
- ソフィーの選択
- マディソン群の橋
- プラダを着た悪魔
- マンマミーア!
- マーガレット・サッチャー鉄の女
先ほど上げた作品では、彼女の演技で賞を獲得しています。どの年代でも評価された彼女の演技、彼女のルーツはどこにあるのでしょうか?
メリル・ストリープが映画にでたきっかけ
そんな映画女優界のレジェンド、メリル・ストリープですがスタートは舞台女優でした。
イェール大学演劇大学院を卒業した彼女は1975年にニューヨークで活動を開始します
1976年、舞台「綿でいっぱいの27台のワゴン」、舞台「二つの月曜日の記憶」でシアター・ワールド賞とアウター・クリティック・サークルの演技賞を受賞しています。
芝居の目に肥えたニューヨーカー達が絶賛!彼女の芝居は当時から演技派女優と知られていたそうです。
舞台女優として順風満帆な彼女は映画「タクシードライバー」のロバートデニーロの演技に圧倒され、映画のオーディションを受け始めました。
映画「タクシードライバー」は不眠症を患うベトナム帰還兵がタクシードライバートラビスがニューヨークの街に復讐する映画です。
そこには晴れることのない憂鬱やフラストレーション、衝動が溢れています。そんな「やり場の無さ」をロバートデニーロがリアリティと迫力を熱演。
ロバートデニーロに憧れたメリル・ストリープは「ジュリア」で映画デビュー。その間も舞台の仕事は続けていて、ロシアの古典文学舞台「桜の園」に出演しました。
なんとその演技がロバートデニーロの心に会心の一撃!舞台での彼女の芝居に一目惚れした彼は映画「ディアハンター」の相手役として彼女にオファーをかけます。
ロバートデニーロとメリル・ストリープ
そんなドラマチックな出会いをしたロバート・デニーロとメリル・ストリープ、なんと「ディアハンター」の他に3作品も共演しています。
「恋に落ちて」、では40代になったメリル・ストリープと禁じられた恋を熱演。
セリフのやりとりはありませんが、その他にも「マイルーム」「ザ・グッド・ハウス(原題)」で共演を果たします。
何がスゴイかってその4作品がどれも素晴らしいということ!特に「ディアハンター」と「恋に落ちて」は映画ファンを唸らせる不朽の名作。
ロバート・デニーロの存在無くしてメリル・ストリープを語れません。
映画「ディアハンター」でアカデミー賞助演部門にノミネートされたメリル・ストリープ、さらに彼女を演技派女優として固めたのが社会派ドラマ映画「クレイマークレイマー」です。
女性の自立変わりゆく家族のあり方を描いたクレイマークレイマー
クレイマークレイマーは離婚闘争を描いた社会派ドラマです。原題はKramer vs. Kramer、原告と被告が同じ姓、つまり描かれるのは不毛な家族同士の闘い。
ジョアンナは何か自分が打ち込める仕事をしたいと夫に相談を持ちかけるが、それに対してテッドは、夫が順調にキャリアを重ねて収入が増え、家族の生活にまったく不自由がないのに、何が不満かと言ってとりあわない。
やがて、ジョアンナはテッドに別れを告げてきた。はじめは冗談だと思っていたテッドだったが、翌日会社から自宅に電話をかけても誰も出ないことから初めてことの重大さに気づく。テッドの生活はその日から一変した。
出典wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%80%81%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC
子育てや家事を放棄して、突然居なくなってしまったジョアンナをメリル・ストリープは演じます。
物語はテッドの目線で描かれており、突然居なくなってしまった妻、両立できない家事と仕事、そして妻からの告訴‥
テッドに感情移入している観る側にとって、あまりにもジョアンナは身勝手に見えます。そして日本人的に納得のいかない結末、後味が良いものではありません。
2019年現在に観ても80年代の離婚闘争はリアルな問題であり、この映画には家族が抱える問題、女性の自立、様々なテーマが流れています。
主演を演じるダスティンホフマンと身勝手な母親を演じるメリル・ストリープの演技力によって、ドラマはリアリティのある迫力を醸し出します。
社会派ドラマ「クレイマークレイマー」の反響
クレイマークレイマーの公開当時、男は外で働き食い扶持を稼ぎ、女は家と子どもを守る。自由の国アメリカですらそんな時代でした。
メリルストリープ演じるジョアンナは、母親であり妻であることよりも、一人前の社会人として働く道を選びます。
この選択を責めるなんてことは、今の世の中ではあり得ないことです。
映画クレイマークレイマーの結末は非常にビターなものです。もし、この夫婦が2019年に生きていたら、こんな結末は生まなかったかもしれません。
そしてジョアンナを見て勇気を貰った人がいるかもしれない、映画のような結末にならなかった現実の人生があるかもしれません。
クレイマークレイマーは世界中の家族のあり方を考える機会を作り、そして世界を変えた映画と言えるでしょう。この映画を通してメリル・ストリープは世界的にも有名な女優となります。
しかし、そんな「身勝手」な母を演じたメリル・ストリープのプライベートはどのようなものだったのでしょうか?
良妻賢母なメリル・ストリープのプライベート
スキャンダルの多いスター界隈、初婚を貫く女優は少ない、と云われています。
仁義なき中傷合戦を繰り広げているジョニーデップ、重婚していたスティーブンセガール、オードリー・ヘップバーンは三回結婚してます、マリリン・モンローは三回
‥うーん‥乱れてますな!それはスターの魅力故なのか?!美男美女も泥沼の苦労が多いようですねぇ‥
スターであり、身勝手な母を演じたメリル・ストリープですが、1978年に彫刻家のドン・ガマー(Don Gummer)氏と結婚しています。
それから‥なんとメリル・ストリープは40年間ドン・ガマーと結婚生活を送ります。現在も継続中です。
1男3女の4人の子供にも恵まれ、娘であるメイミー・ガマー とグレイス・ガマーは女優です
メイミー・ガマー、優しい目と口元が母のメリル・ストリープにソックリですね。
グレイス・ガマー、目と口元と輪郭と‥クレイマークレイマーを演じてた頃のメリル・ストリープの生き写しですね。
二人ともそっくり、特にグレイスガマーさんはリンクの張り間違えを疑うほどに、若き日のメリル・ストリープにそっくりです‥間違いなく彼女の血を受け継いでいます。
子育ても成し遂げたメリル・ストリープ、身勝手な母であるジョアンナとは別人のようですね。
「クレイマークレイマー」を演じていた頃の彼女は長く交際した俳優と死別した頃のようです。結婚を意識していた人との死別それから私は仕事で生きていくんだ、そんな彼女の境遇とシンクロしたのかもしれませんね。
40代を迎えたメリル・ストリープの活躍
メリル・ストリープは40代を迎えた90年代も精力的に活動を続けます。
- 1990ハリウッドにくちづけ
- 1992永遠に美しく…
- 1993愛と精霊の家
- 1994ザ・シンプソンズ(声の出演)
激流 - 1995マディソン郡の橋
判決前夜/ビフォア・アンド・アフター - 1996マイ・ルーム
- 1998母の眠り
- 1999ミュージック・オブ・ハート
4人の子どもを産み、育てつつこの活動!アニメシンプソンズではゲスト出演も果たしました。
40代にして大御所感があります。一体ここまで出演する彼女の魅力とはなんなんでしょうか?
メリル・ストリープの魅力、演技に対するストイックな姿勢
外国映画は吹き替えで楽しむ人もいるでしょう、でもそれでは伝わらない面白さってあります。
独特の英語の言い回しやジョーク、これを理解して映画を楽しむ人は少ないです。
例えば日本映画が海外で上映されたとして、若者言葉のヤバイはどう表現されるのでしょうか?カワイイは?
まだ単語はいい、関西弁はどう表現されているのでしょうか?広島弁は?東北弁は?そういった方言で面白さを作る演出は日本にもあります。
方言は日本独特なものでなく英語にもあります。イギリス英語とアメリカ英語は細かい文法が違い、都会育ちのニューヨーカーの使う言葉とアイダホ生まれのポテト農家のおじさんの使う言葉は違います。
さらにややこしいことに、英語は第二言語として使われることも多い言葉、ロシア出身のしゃべる英語、南米出身の英語、欧州出身の英語、別の言語かというほどに違いがあります。
そんな「言語の癖」を言葉巧みに使いこなすのがメリル・ストリープの特徴です。
メリル・ストリープは「訛り」の女王
メリル・ストリープの役作りは役になりきるために徹底的にリサーチを行うそうです。
台本は頭にいれるだけで読むのは数回程度、台本以上にそのキャラクターが生きた時代や世界を研究するそうです。
アメリカ南部を舞台にした恋物語「ソフィーの選択」ではつたない英語しか話せないポーランド人を演じています。
また他作品にアメリカ各地域のイントネーションを巧みに使い分けています。正に変幻自在。
1980年代のジョアンナからイギリス初の女元首鉄の女サッチャーまで説得力を持たせる演技力!
オペラ歌手として勉強をしていたメリル・ストリープは絶対音感を持っています。その絶対音感が、彼女の言語に拡がりを持たせています。
メリル・ストリープのやさしさ
50代以降の老年期を迎えた彼女の芝居からは、深い愛情とあたたかな優しさを感じます。
実在した奇跡の歌姫 フローレンス・フォスター・ジェンキンスを演じた映画「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」という映画があります。
何が奇跡なのか?フローレンスが超絶的に音痴にも関わらず不思議な歌声で多くの人を魅了し劇場に人を集めつづけたからです。
音痴にもかかわらず、それだけの魅力があったフローレンスについてメリル・ストリープはこう語っています。
彼女は音痴ということで非常に有名ではあるけれど、それだから映画をつくろうと監督は思ったわけではなくて、それ以外のところに魅力を感じていたのよ。見方によれば、彼女は滑稽かもしれないけれど、
『水が半分入っているグラスは、半分しか入っていないんじゃなくて、半分も水が入っているのよ。できる限り、幸せな気持ちでいるわ』
って毎日思いながら外に出かけていくような人だったの。彼女は音楽を愛していて、私は彼女のそんなところが好きなのよ」
引用メリル・ストリープが教えてくれた! あきらめない、悔やまない生き方https://www.mashingup.jp/2016/11/058783meryl.html
自分を演じる役に向き合ったからこそ出せる愛に溢れたコメントですね。
また、彼女は自身の活動のモチベーションの源についてこう語っています。
演じているときはいろんな人に変身することができるし、トランクから飛び出せるような感じが楽しいのよ」引用メリル・ストリープが教えてくれた! あきらめない、悔やまない生き方https://www.mashingup.jp/2016/11/058783meryl.html
飛び出す勇気と、そして楽しむ心、女性的でそれでいてどこかしたたかさを感じるコメントですね。
部屋に入ってきて、言葉を発するだけで一瞬にして空気を変えてしまうような、そんな魅力をもつ人のようです。
メリル・ストリープの50代60代になっても衰えない魅力
50代になってからもメリル・ストリープの活躍は衰えません。それどころか、年を重ねたからこそできる役に挑戦し続けます。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙では冷戦時代の英国初の女性首相、マーガレット・サッチャーを演じます。
演じるメリル・ストリープにも政治的な意見を求められる作品‥彼女はサッチャーについてこう評してます、
「私にとって、彼女の信念の強さと気概は畏敬の念を抱かずにはいられないものだった。」
エネルギーのいる大役、世界でサッチャーを演じられるのは彼女だけではないでしょうか?
プラダを着た悪魔
映画「プラダを着た悪魔」ではメリル・ストリープはファッション界のレジェンド、誰もノーと云えないようなファッション雑誌編集長のミランダを演じます。
主人公をいびり倒すブラック上司!!多分だけど、こういう人っているんだろうけども、そっくりそのままミランダみたいな人って居ないんじゃないかなぁ‥
そんなどこかコミカルでデフォルメされているミランダを演じます。
マンマミーア!シリーズ
ブロードウェイのミュージカルが原作になっている映画「マンマミーア!」では50代とは思えないダンスと歌唱で見る者を圧倒します。
そして家族をテーマにした温かみのある彼女の振るまいは感動を誘います。
続編「マンマミーア!ヒアウィーゴー」では配役はそのままに、「マンマミーア!」の何年後かの物語です。実際には「マンマミーア!」は2008年公開、「ヒアウィーゴー」は2018年公開。10年の時を経ています。
「マンマミーア!ヒアウィーゴー」では引き続き「ドナ」役を演じるメリル・ストリープは終盤15分しか出番がありません。その理由はさらっと説明されますが、そのおかげで物語全編に拡がる寂しさ。
しかしメリル・ストリープの登場で、物語がまとう寂しさを一瞬で暖かで感動的なものにします。
老いたからこそできた、そして母としての人生を送ってきたからこそ、この愛を表現できた、そう感じさせた素敵なお芝居でした。
メリル・ストリープの今後の活躍
さて、世界的なレジェンド女優メリル・ストリープ、70歳を迎えてからの活躍も楽しみですね!
そんなメリル・ストリープは若草物語を原作とした映画「リトル・ウィメン」に出演します。
若草物語は1860年代のまだ開拓しきれていない、奴隷制度、南北戦争という国外を挟んだ国内での戦争、そんな時代に生活しているマーチ家の物語です。
裕福ではなくとも、自然に溢れた環境で明るく楽しく暮らしている4姉妹の生活、その青春‥
その物語の中でメリル・ストリープはマーチおばさんを演じます。
足の悪い、開拓民として葛藤に苦労を重ねて、それでも愛に満ちたマーチおばさん。70歳を迎えた今だからこそできる役、ですねぇ‥
まだ欧米でも公開されていない本作、果たして日本でも放映されるのか?楽しみですね。
まとめ:自立した女性像を実現したメリル・ストリープ
ハリウッドスター映画界のレジェンド、メリル・ストリープの人生を作品に沿って紹介させて頂きました。
「クレイマークレイマー」では母である前に自立した女性を選んだジョアンナを演じた彼女ですが、
メリル・ストリープは俳優業という仕事を通じて「自立した女性」の人生を送った理想像といえるのではないでしょうか?
家庭を犠牲にすることもなく、女優としても世界から愛される女性らしい優しさと深い愛を備えた女性。それが彼女が一線を走り続けた秘密なのでしょう。
そしてどんな役を演じる時も新鮮に、ワクワクして飛び込む、これは日常生活を送る僕たちにも大事な教訓ですね。最後までよんでいただきありがとうございました!