『トランセンデンス』は、ジョニー・デップ主演の近未来SF映画です。亡くなった人の意識を、コンピューターに蘇らせたことで引き起こされる、様々な問題を描いています。2014年に日本でも公開されました。
今回は『トランセンデンス』を観たことがない方の為に、この映画のあらすじや登場人物、みどころを解説していきます。
『トランセンデンス』について気になっている方は、ぜひ最後まで読んでくださいね!
『トランセンデンス』概要
それでは、近未来の世界を描いたSF映画『トランセンデンス』の概要をご案内します。
- 公開日:2014年
- 主演:ジョニー・デップ
- 監督:ウォーリー・フィスター
- 脚本:ジャック・パグレン
- 製作:アルコン・エンターテインメント
- 配給: ワーナー・ブラザース
ライオンズゲート/サミット・エンターテインメント
ポニーキャニオン/松竹 - 上映時間:119分
『トランセンデンス』はイギリス・中国・アメリカで共同製作されました。製作費は約100億円の大作です。
『トランセンデンス』のあらすじ
主人公のウィル・キャスター(演:ジョニー・デップ)は、量子コンピュータ科学者です。ウィルは人間の能力を超えた、新しい世界を作るため、新技術を開発していました。
映画『トランセンデンス』の世界では、科学技術は進歩し、猿の意識をコンピューターにアップロードすることに成功していました。
しかし、ウィルはそのような研究に危機感を抱く、過激派テロ組織RIFT(リフト)の凶弾に倒れてしまいます。妻のエヴリン(演:レベッカ・ホール)は、夫、ウィルを深く愛していました。
ウィルの死が迫っていることを知ったエヴリンは、ウィルの意識をPINNというコンピューターにアップロードし、コンピューターの中でウィルの意識を蘇らせようとします。
『トランセンデンス』の登場人物
ウィル・キャスター(演:ジョニー・デップ)
シンギュラリティ(AIの能力が人類を超える転換点、技術的特異点)を目指す科学者ウィル。
演じたのは、アメリカンインディオの血を引く、個性派俳優ジョニー・デップ。
アメリカの労働者階級家庭の出身で、ストレスの多い家庭環境のなかで10代の頃からドラッグに手を染めるなど、どん底生活を経験した人です。
『シザー・ハンズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など数々の映画に出演しています。
エヴリン・キャスター(演:レベッカ・ホール)
エヴリンは夫を愛するがゆえに、夫の死が受け入れられず、夫をコンピューターの中で生き返らせようとします。
レベッカ・ホールは『それでも恋するバルセロナ』でヒロインに抜擢され、脚光をあびました。『ザ・タウン』『アイアンマン3』『ザ・ギフト』が主な作品です。
マックス・ウォーターズ(演:ポール・ベタ二ー)
マックスは、ウィル、エヴリンの友人の科学者です。エヴリンに協力しウィルの意識をコンピューターにアップロードすることに協力します。
もとストリートパフォーマーだったポール・ベタニー。演技を学び舞台俳優としてデビューしました。『ギャングスター・ナンバー1』や『ビューティフル・マインド』などが主な作品です。
ジョセフ・タガー博士(演:モーガン・フリーマン)
ジョセフ・タガーはコンピューター科学者です。コンピューターにアップロードされたウィルに驚異を感じます。
演じるのは、名優モーガン・フリーマンです。『ドライビングMissデイジー』『ロビン・フッド』他、数々の映画に出演。『ミリオンダラー・ベイビー』ではアカデミー助演男優賞を受賞しています。
『トランセンデンス』のテーマと魅力
『トランセンデンス』の魅力は「将来現実でも起こりうる出来事」をリアリティたっぷりに描いていることです。映画の序盤に、ウィルが講演会で行った演説シーンではこんなセリフが登場します。
自我を持つAIがネットで繋がれば人類を超える、その分析力も集団的知性も凌駕するだろう。
そのような人工知能が人間と全く同じ感情と自我をもったら、これは特異点、シンギュラリティと呼ばれるが、私は『トランセンデンス』と呼ぶ。
「意識とは何か?」「魂は存在するのか?」「もし存在するなら体のどこに?」
この問いかけが『トランセンデンス』のテーマだと私は思います。
ちなみに『トランセンデンス』とは、超越、卓越、優越、(神の)絶対性という意味です。
人工知能を肯定する人と、否定する人の対立を描く
人工知能を肯定する人と、否定する人。『トランセンデンス』はこの両者の意見がぶつかり合う様子も丁寧に描いています。
「人類はいつも、神を作り出そうとしてきたし、これからもそうするだろう」という主張のもと、人知を超えるAIを作り出す人々。
「人工知能は醜悪で人類最大の脅威である」と考え、人間が神の領域に至ることを阻止したい人々。
映画『トランセンデンス』はこの2つの考えの対立で構成されています。この映画の良さは、どちらかの考えが間違っているという描き方ではないことでしょう。
『トランセンデンス』の評価・感想
『トランセンデンス』の評価は映画.comでは3.0 Yahoo!映画では2.91と、まずまずといった評価ですね。
実際に映画を見た人の感想もいくつかご紹介しますので、参考にどうぞ。最初に高評価のコメントを、次に低評価のコメントを載せました。
高評価のコメント
今作ではマトリックスやターミネーターのように、[AIvs人間]のような単純な二項対立ではないところが面白く
なんか突然銃をぶっぱなしたり、同じ人間をいたぶったり
どちらかというと人間サイドが悪役を演じてるようにも見えるトランスセンデンスの意味通り超越した科学技術は人の寿命を伸ばしたり、や動物のクローンを作ったり
最早神の領域まで達しているのではないか?
そんなことを考えさせる作品であっただがしかし、作中にあったように「自我の証明」や「非合理性」のところを掘り下げて
人間が人間である証をもっと教授のユーモア程度では終わらせず深く追求して欲しかった出典:https://eiga.com/movie/79708/review/0875955/
「AI対人間の二項対立でないところが面白いと、どちらかというと、人間の方が悪役に見える」とコメントにありますが、これは同意です。
コメント主のいうとおり「自我の証明」や「非合理性」のところを掘り下げれば、もっと深い内容になったと私も思います。
しかし、あくまでもエンターテイメントの映画なので、製作者は哲学的な話はさらっと触れる程度にしたのでしょう。
低評価のコメント
妻エヴリンが夫ウィルをデータとしてインストール、巨大なデータと結び付いたらどうなるか?
と言うのがこの作品のキモと思っていたが夫の死亡に堪えられず、夫を思考するスパコンの一部にしてしまうなど、妻の自分勝手さが次第に酷くなっていくのにイライラ。
スパコン化したウィルは新技術を発達させ、国からも危険視される状態になるが、映像がそこそこ綺麗なだけで目新しさは特に感じなかった。
全体的にストーリーが場当たり的、感情的な妻とスパコン化した優しい夫のドラマで、タイトル通りの内容ではなかったと思う。
出典:https://eiga.com/movie/79708/review/01932050/
確かにこのコメント主のいう通り、妻のエブリンはとっても自分勝手です。
夫をスパコンの一部にしたのは、夫の死を受け入れられない、エブリンなのですから。
でも、エブリンはだんだんと夫のスパコンが万能すぎて怖くなってきます。とても身勝手です。
愛する人を失う悲しみに耐えられない、でも万能スパコンは怖い、とても人間的です。エブリンは身勝手な人間を代表しているともいえますね。
『トランセンデンス』が描く意識の世界
コンピュータのウィルは、病気や障がいのあるの人の体を治療しました。患者は単に体が治っただけでなく、体力的にもアップグレードし、その意識はウィルと繋がるようになります。
患者たちは、個々人であるけれど、同時にみんなウィルと繋がっているのです。ウィルのデータは、地球上のあらゆる所に存在して、まるで神のようです。
今の科学でも、もうすぐ私たちはお互いの五感を共有できるというのですから、こんな風にお互いの意識が繋がっていく世界も、まったくの夢物語とも思えません。
【筆者感想】「意識とは何か?」について考えました
『トランセンデンス』の面白さは、近未来が直面しそうな問題を、エンターテイメントとして描いていることでしょう。
『トランセンデンス』の感想
映画冒頭のウィルの演説に、この映画のテーマが集約されていると書きましたが、私にとってこの部分がこの映画を見るキーでした。
そしてこの映画の面白さは、「人間の意識とは何か?」それを私自身が、考えることでした。
「自我を証明できるのか?」と問うタガー博士に対して、「難しい質問だ、タガー博士。君は証明できるのか?」とコンピューターのウィルは返します。
自分が自分であることを私たちは、いったいどのように定義しているのでしょう?
印象に残った場面
映画のラストの方で、ウィルの意識が、黒い極小の粒になって世界中に散らばっていく場面があります。それを見た私は「人の意識とは、いつかこんな風にお互いに共有されていくのだろうか?」と考えてしまいました。
「1人はみんな、みんなは1人」そんな世界観を可視化するような映像表現は興味深かったです。
『トランセンデンス』をインターネットで視聴する方法
『トランセンデンス』は2021年現在、以下の配信サイトで視聴することができます。
サイトによってサービスも、ビデオの数も違います。ご自分の希望にあった配信サイトを利用してくださいね。
配信
サービス |
料金 | 作品数 | サービス
特徴 |
無料
期間 |
NETFLIX |
月額¥880 (税込) |
非公開 |
クオリティの高いオリジナル作品がある
海外映画が豊富 |
31日間 |
Aamazon Prime Video |
月額¥500 年額¥4,900 (税込) |
見放題約9,000本 総取り扱い作品数約70,000本以上 |
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30日間 |
TSUTAYA TV |
月額¥1,026 (税込) |
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HD画質で映像が綺麗 |
30日間 |
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月額¥2,189 (税込) |
210,000本以上見放題 |
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31日間 |
『トランセンデンス』紹介記事のまとめ
近未来の新しい世界観の一端を見せてくれるのが『トランセンデンス』の面白さです。
世界中が人工知能の研究に突き進んでいる現在、高性能の人工知能を搭載したコンピューターとどう向き合っていくのか、これは私たちに突きつけられた新しい課題です。
エンターテイメントのSF映画ですが、人とは何か、人であることの定義とはなにか?そんな哲学的な問題を考えてしまう映画でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事で『トランセンデンス』を観てみたい!と思っていただけたなら嬉しいです。