今回紹介する、『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』は、1908年に出版されたカナダの女流作家ルーシー・モード・モンゴメリーが執筆した長編小説です。
映画『赤毛のアン グリーンゲーブルへの道』は、1979年に放送されたテレビアニメシリーズ全50話から、1~6話を演出の高畑勲自らが監修・再編集した劇場版作品なんです。
本記事では『赤毛のアン グリーンゲーブルへの道』のあらすじや、見どころを紹介していきます。きっと、アンの世界をのぞいてみたくなりますよ。ぜひ、最後まで読み進めてみてくださいね。
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『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の作品情報
まずは『赤毛のアン グリーンゲーブルへの道』の作品情報から紹介していきます。作品情報は以下のとおりです。
- 公開年:2010年7月17日
- 監督:高畑勲
- 画面構成:宮崎駿
- 作画監督:近藤喜文
- 美術監督:井岡雅宏
- メイン声優: 山田栄子、北原文枝、槐柳二
- 配給:三鷹の森ジブリ美術館
本作品は、出版から100年過ぎても愛され続けているモンゴメリの『赤毛のアン』をアニメ化した作品です。
TVアニメシリーズで6話までのストーリー。孤児院からカスバート家に引き取られてきた少女アンが、自分の居場所を見つけていくまでが描かれています。
注目は、高畑勲、宮崎駿が手掛けた作品であること。『アルプスの少女ハイジ』や『母を訪ねて三千里』など当時アニメ番組を手掛けていた二人の監修であるところも気になるところです。
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』あらすじ
孤児院からカスバート家に引き取られてきた少女アン。すんなりと、家族として迎えられたわけではありません。カスバード家は、畑仕事を手伝ってくれる男の子を養子にと考えていました。
男の子を迎えに養父マシューが駅に向かえに行きます。しかし、駅で待っていたのは女の子だったのです。最初から予想外の展開が繰り広げられていきます。
すぐに孤児院へ返そうと思った養母マニラですが、徐々に気持ちが変化していきます。カナダのプリンスエドワード島の美しい自然の中で、一人ぼっちで寂しかったアンが自分の居場所を見つけていくまでを描く物語です。
アンのどんな時でもポジティブに、楽しいこと美しいことを見出す空想力が鮮やかに描かれています。
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の登場人物を解説
この章では、映画『赤毛のアン グリーンゲーブルへの道』の登場人物を紹介していきます。物語に登場するのは、主人公のアンの他、養父母のマシューとマニラ。アンは、どんな子供なんでしょうか?
アン・シャーリー(声:山田栄子)
この物語の主人公の女の子です。アンは、赤毛でそばかすが特徴のやせっぽちな女の子。アンは、生まれてすぐに両親を病気で失ってしまいます。
知り合いの間をたらい回しにされた後、孤児院へ送られます。その後、マシューとマニラの老兄妹に引き取られ育つのです。
アンは、自分にコンプレックスを持ちながらも、感受性が強く想像力豊かなおしゃべりが大好きな女の子です。
マシュー・カスバード(声:槐柳二)
アンを引き取ることになったカスバード兄妹の兄。農業と、アベイ銀行の預金の利息で質素に暮らしていました。
マシューは、人見知りが激しく特に女性が大の苦手です。そのため、60歳になるまで独身でいます。
「そうさのう・・」が口癖で無口な性格のマシューです。そんなマシューですが、アンがやってきて少しずつ変わっていきます。
マニラ・カスバート(声:北原文枝)
カスバード兄妹の妹。マシューとは正反対の性格で、はきはきして社交的な女性です。現実主義な彼女にとって、アンの行動すべてが戸惑うことばかり。
しかし、徐々にアンへの理解を深めていきます。マニラは、家事全般をきちんとこなし、料理上手な女性です。
「やれやれ」が口癖で、アンのマシンガンのようなおしゃべりの後に、よくこのセリフをつぶやきます。
アンを取り巻く登場人物を紹介してきました。コンプレックスを抱えながらも、前向きに明るく生きていくアン。男の子と間違えてカスバード家へやってきたアンはどうなるのか気になりますよね。
ここまでは、作品情報や主演者たちの紹介をしてきましたが、次からは筆者オススメの見どころを2つ紹介していきます。
筆者オススメの見どころ①想像力と感受性豊かな女の子
アンは、自分の赤い髪とそばかすがコンプレックスの女の子。そんなアンですが、とっても想像力豊かで見るものすべてをキラキラとした世界に変えてしまします。
マシューとグリンゲーブルズへ向かう途中、花ざかりのりんご並木を通ります。それは、とても綺麗でアンの心を動かします。普通なら「綺麗ですね」で終わるのでしょうがアンは違います。
あまりの美しさに感動したアンは、リンゴ並木を寛喜の白路(the White Way of Delight)と名付けます。舞台であるプリンスエドワード島の美しい自然描写はこの作品の魅力とも言えます。
そして、アンはグリーンゲーブルズに着くまで空想の世界を楽しむのです。彼女の想像力と感受性豊かな表現が一番の見どころと言えるでしょう。
筆者オススメの見どころ②常にポジティブなアン
孤児院からマシューたちに引き取られることになったアン。孤児院に行く前は、知り合いにたらい回しされます。そんな状況だったら、あなたならどんな心境でしょうか?
腐ったり、へこんだり、自身の運命を恨んだりしませんか?しかし、アンは違います。どんな時でも前向きでポジティブに物事を考えます。
マニラは、アンが男の子でなかったため孤児院に戻そうと紹介者であるスペンサー家に向います。その馬車の中でアンがマニラにこう話します。「楽しもうと決心すれば、たいていいつでも楽しくできる」
孤児院に戻されることは考えずドライブを楽しむと言うのです。どんなに窮地に立たされてもポジティブにとらえ、現状を楽しもうとするアンの姿は今の時代でも響きますよね。
アンの魅力を高畑勲が見事に表現できた理由は?
この映画は、原作『赤毛のアン』をアニメ化したものです。少女から、大人になっていくアンの物語ですがこの映画でのあらすじは、孤児院から引き取られたアンがカスバード家の一員として迎えられるまでのお話です。
物語としては、序盤の話であり面白みに欠けるかと言ったらそんなことは全くありません。アンは、想像力を働かせてマシンガンのように話し出します。その台詞は原作の会話を忠実に表現しているんです。
高畑勲監督は、「空想好きでおしゃべり好きな女の子を描くのに原作の台詞なくしてはあり得ない」と、『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の公式サイト内のインタビューで語っています。
原作の台詞を忠実に描くことで、アンを生き生きと表現することができたのかもしれませんね。
(参考:https://www.ghibli-museum.jp/anne/kataru/takahata/)
筆者の『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の感想
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』は、1979年にテレビアニメで放送された『赤毛のアン』の1~6話の話なのですが、実は私はこのテレビアニメを当時毎週楽しみに見ていた子供なのです。
アンは、私と同じ11歳。第一話を見た時「今回の主人公は、なんか可愛くない」そう思いました。当時の少女漫画の主人公と言えば金髪で派手なキャラクターばかりだったからです。
でも、アンのおしゃべりが楽しくてたまりませんでした。アンが一度話し出したら、マニラがうんざりするくらい話が止まりません。そして、アンは色々な事を空想して日常をドラマチックにしてしまうんです。
どんな時でもポジティブに考える彼女を見ていると、なんだか勇気をもらっているような気持ちでいっぱいでした。アンの言葉はどれも魅力的で心に残るものばかり。毎回ワクワクが止まりませんでした。
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の視聴方法
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原作『赤毛のアン』は世界中から愛され続けている名作
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』は、ルーシー・モード・モンゴメリーが1908年に執筆した『赤毛のアン』が原作です。100年以上も前に書かれた作品ですが、今なお世界中に愛されている物語です。
アンは、幼くして両親を失い知り合いにたらい回しにされた挙句に孤児院に預けられてしまします。そんな辛い境遇であるアンが繰り広げる空想やおしゃべりは世界中の人たちを虜にしました。
実は、この『赤毛のアン』は一度は出版社に出版を断られてしまします。しかし、モンゴメリーが読み返すとやはり面白い作品だからとなんとか出版にこぎつけます。
モンゴメリーが面白いと自ら絶賛するアンの物語。映画では、魅力的な少女アンを高畑勲監督が生き生きと描いています。
映画『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の情報まとめ
映画『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』の魅力を紹介してきました。本作品は、テレビアニメで連載された1~6話までの物語です。
アンが、孤児院からマシューとマニラに引き取られ生活が始まるまでのお話。正直なところ、物語自体はとても地味。しかし、この物語の一番の魅力は主人公のアンなんです。
豊かな感受性で、日常をドラマチックに変えてしまう想像力は見ていて関心してしまいます。彼女が発する言葉は、不安を抱えて生きている今の時代でも響きます。
だから、誕生から100年以上もたった今でも、アンの人気は衰えることがないのです。ぜひ、この映画を見てアンの楽しいおしゃべりや想像力感じてください。きっと、苦しい時の乗り越え方が見えてくるはずですから。