今回ご紹介する映画『告白』は、湊かなえによる同名のベストセラー小説の映画化作品です。娘を殺された中学教師が復讐のため、真相を生徒たちに告白し、追求していく学園ミステリーです。
この映画のキャッチコピーは「告白が、あなたの命につきささる」です。予告のオープニングで中学生教師演じる、松たか子さんが「真奈美はこのクラスの子に殺されたんです」というショッキングな台詞から始まります。
この『告白』という映画は、ただの復讐劇なのでしょうか?本記事では、この映画の見どころや口コミも紹介していきます。最後までご覧ください。
映画『告白』の作品概要
ここでは、映画『告白』の作品概要についてご紹介していきましょう。
- 監督・脚本:中島哲也
- 原作:湊かなえ『告白』双葉社刊
- 製作:『告白』製作委員会
- 配給:東宝
- 上映時間:106分
『告白』は2010年6月5日に配給東宝で公開された映画で、原作は湊かなえが執筆した同名のベストセラー小説です。
主演の女性教師は松たか子が演じ、淡々とした演技で視聴者をグイグイと引き付けていきます。
第34回日本アカデミー賞では4冠を達成し多くの賞も獲得しましたが、映画芸術雑誌選出の2010年度のワースト1位にもなり評価は両極端でした。
映画観客動員ランキングは初登場1位、興行収入でも4週連続ランキング第1位となるなど公開当時はものすごい人気で、2010年度に日本で公開された日本映画の興行収入成績で第7位になったほどです。
映画『告白』の登場人物
それでは、この章では『告白』の登場人物について紹介していきます。
森口 悠子(演:松たか子)
オープニングでクラスの子どもたちにある告白をする担任の女性教師。自分の娘がプールで溺死するが、その真犯人に復讐するため犯人を追い詰めていく。
森口 愛美(演:芦田愛菜)
森口の一人娘。職員会議のある水曜日だけは森口の退勤が遅くなるため、一旦保育所から引き取られて中学の保健室に預けていた。
中学校の隣にある、以前預けられていた竹中家の飼い犬にプールサイドからパンの切れ端を与えていた。そんなある日プールでうつ伏せのまま亡くなっているのが発見される。
桜宮 正義(演:山口馬木也)
学生や同業者から支持される男性教師。「世直しやんちゃ先生」の名で広く知られ、メディア露出や書籍の発表など活躍は多岐にわたったが、森口と婚約後にHIV感染が判明し結婚を取りやめる。
寺田 良輝(演:岡田将生)
森口が退職した後、代わりに来た担任。桜宮の熱狂的な信者で、彼に憧れて教師になった。子どもたちにはニックネームで呼ぶよう求める熱血教師である。
長期で休んでいる下村直樹は心の病と思っている。森口の事件のことは一切知らず、子どもたちからは馬鹿にされている。
下村 優子(演:木村佳乃)
少年Bこと下村直樹の母親。典型的な教育ママであり、息子には過保護過ぎる上に神経質な人物。
終業式以来引きこもりになった息子を守ろうとするが、息子の告白に無理心中を図り逆に殺害されてしまう。
渡辺修哉の父親(演:新井浩文)
電気屋を経営している。修哉の母と別れた後再婚し、新しい妻との間に子供が生まれ修哉と距離をおくようになる。修哉は、優秀だった母と比べて劣った人間だと馬鹿にしている。
渡辺修哉の母親(演:黒田育世)
少年Aこと渡辺修哉の母親は、将来を期待された優秀な電気工学者だったが妊娠・出産によって学問を断念。
自分の思いを息子に託して、幼い頃から英才教育を施したが期待するほどの才能を持っていない息子に苛立つ。
虐待に似た行為も増え結局、修哉を見限り離婚し修哉を置いていってしまう。
映画『告白』のあらすじ
ここでは、『告白』のあらすじについて紹介していきますのでご覧ください。
ある中学の1年B組の修了式後のホームルーム。雑然とした教室で担任の森口悠子が静かに語りだします。
「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」
教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていきます。
娘を殺害された女性教師が、かつては教え子であった少年A、少年Bを復讐のため追い詰めていきます。
中島哲也監督の作った映画『告白』の見どころ
中島哲也監督といえば、代表作として『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』、『パコと魔法の絵本』、『渇き』など数多くの作品があります。
中島哲也監督の手法で目を見張るのは人間の表現の仕方。『告白』でも人間の多面性を掘り下げていく造りで、人間の本質に迫っていくリアルな表現には、非常に恐怖を感じます。
復讐する森口先生や、殺人を犯した少年 A・B、人殺しの息子をかばう母親、加害者の少年を集団でいじめる子どもたち。全ての登場人物が、それぞれに恐ろしい部分を持っています。
憎悪が淡々と描かれているため、視聴者は心理的な恐怖感を覚えるのです。
『告白』主演松たか子へのインタビュー
主演を務めた松たか子さんは、中島哲也監督からの熱烈な手紙のオファーを受けと出演を決めたそうです。ここでは、映画『告白』で主演された松たか子さんへのインタビューをご紹介していきます。
Q.原作を読まれてどのように感じましたか?
わたしは、中島監督にこの映画のオファーをいただいてから同時に原作を読んだんです。
自分がこの森口先生を演じるからとかいうことを抜き にして、作品に引き込まれて一気に読んでしまいました!
とてもスピード感のある小説ですし、戯曲ではないにもかかわらず、これだけ 登場人物がよくしゃべる小説ってユニークだなと思いました。
(引用:https://movies.yahoo.co.jp/interview/20100531001/)
Q. 監督からの熱烈なオファーは手紙だったとか?
そうなんです。手紙には監督が「ぜひともわたしにこの役をやってもらいたい!」と書かれていたので、すぐにお受けしますとお答えしました。
(引用:https://movies.yahoo.co.jp/interview/20100531001/)
Q. 松さんにとってこの作品は覚悟のいる作品だったのでは?
オファーを受けた後に、すごい役を引き受けると言っちゃったもんだな……と思いました(笑)。ただ、この『告白』がきちんと1本の作品になって公に出せるかどうか、森口先生が具体化するかどうかということがまず大事でしたから。最終的にはわたし自身もこの役をやることで、自分が人にどのように思われようがいいや! と思えるようになりました(笑)。
(引用:https://movies.yahoo.co.jp/interview/20100531001/)
Q.役作りは、どのようにされたのでしょうか?
「森口先生像」を変に崩して演じてしまうと、多分違うものになってしまうと思ったので、まずは監督がどのように映像化するのかなと、考えていました。監督は、原作に忠実に映像化されていて、その覚悟が素晴らしいと思ったので、監督に最後までついて行こう! と思いながら役を演じていました。
(引用:https://movies.yahoo.co.jp/interview/20100531001/)
監督の『告白』づくりの熱意が松たかこさんに伝わり、復讐へ突き進んでいく恐ろしい「森口先生」が作り上げられたんですね。松たか子さんのこの作品への意気込みが伝わってくるインタビューでした。
松たか子さんしかこの役はできないと、中島哲也監督がオファーしたとか。手紙でのオファーというのは少し微笑ましさを感じますよね。
映画『告白』で何を伝えたかったのか?
この映画のテーマは、命の重さを問いています。しかし子どもを殺された母親の復讐劇でもあるのです。
この映画は復讐劇だけでなく、虐待、溺愛、いじめ、HIVに対する恐怖と偏見、シングルマザー、少年犯罪、少年法など現代の社会問題を詰め込んだ作品で、考えさせられる映画です。
見終わった後に「復讐できて良かった!」とスッキリしないのは、命の尊さの答えを提示しないまま答えを出さずに終わってしまった感覚が残るからなのでしょう。
命の尊さについて視聴者に、考えさせることが目的だったのかもしれません。
映画『告白』の口コミ
ここでは、『告白』についての口コミについて紹介していきます。
小説を読んでからの映画でしたが、忠実に再現されており、また、リアリティも増し、残酷で、面白かったです。
先生が淡々と話す感じ、作品全体の空気感がたまらなかったです。
引用元:https://filmarks.com/movies/32267/reviews/96564827
原作が大好きなのでビビってたけど松たか子さんが本当に素晴らしい…重たいテーマなのに音楽や演出が所々ポップなのが余計にゾッとする。
湊かなえさんの描くゾッとするけどスカッとするラストがとても良い。
引用元:https://filmarks.com/movies/32267/reviews/96560313
すごく好きです。復讐したところで虚しさだけが残る、みたいな描写がまったくないのが気持ちいい。
ただただ許せない気持ちを冷静に形にしていく、しっかり犯人側のバックグラウンドも描く、その上で最悪の展開にしていく。個人的に理想的な復讐映画です。
引用元:https://filmarks.com/movies/32267/reviews/96559416
『告白』を鑑賞した人から、一番多く見られたのは松さん演じる森口先生の残酷な人物への恐怖心でした。事故死とされた娘の復讐を決行すべく、犯人を追い詰めていく森口先生の脅威が心に残るところでしょう。
また、中島哲也監督の演出が作品全体に恐怖心を増大させているようです。R-15指定(15歳未満禁止)の理由が少しわかりますね。少年法の在り方が問われる作品になったとも言えるでしょう。
映画『告白』を視聴した筆者の感想
ここでは、『告白』を視聴した筆者の感想をご紹介します。「犯人がクラスの中にいる」という衝撃な告白から始まるオープニングで、一気に引き込まれました。
森口先生は、最愛の娘を殺した生徒が14歳未満は罰せられないという少年法のせいで復讐を決意してしまいます。
刑法41条
十四歳に満たない者の行為は、罰しない。
本条は責任年齢についての規定である。これにより、14歳未満の者は刑法上責任能力がないものとして扱われる。
引用元:刑法第41条 – Wikibooksより
最近、この法律には賛否両論ありますが、あなたは犯人がわかっているのに「14歳未満の少年なら法で裁かれない」この現状をどう思いますか?
執筆者は子を持つ親として、森口先生の気持ちがよくわかります。もし、同じ立場なら私も犯人をこの手で殺してやりたいと思いますから。
少年の凶悪犯罪が、現実でも増えてきています。そんな悲しい事件を聞くたびに、なぜ法で裁かれないのかとやりきれない気持ちになるのです。
森口先生が最後に言った「な~んてね」の本当の意味とは?
私が印象に残ったストーリー終盤の映像が見つかりましたので、合わせてご覧ください。
森口先生が涙を浮かべながら「ここからあなたの更生の第一歩が始まるんです」と言った後に、「な~んてね」と笑みを浮かべながら続けるこの場面。
「な~んてね」は、少年Aである渡辺修哉がよく言っていたセリフです。彼女は犯人を追い詰めた時に、なぜこの場面で「な~んてね」と言ったのでしょうか。
「更生」という言葉を発したのは、教師としての思いも残っていたのでしょうか?しかし、森口先生のこの言葉にはその教師の心を打ち消すように「許すわけないでしょう!」と言っているように思えます。
森口先生の復讐はこれで終わりなのでしょうか?「悪者を倒しておしまい!」とはなりませんよね。復讐は終わってもきっと森口先生の心には、虚無感と寂しさが残るのだろうと思えるのです。
映画『告白』を視聴する方法
ここでは、『告白』をインターネットで視聴する方法を紹介していきます。『告白』を視聴するには方法が2つあります。
まず一つ目はhuluです。huluは登録後2週間無料で視聴できます。2週間無料トライアル以降は月々1,026円になります。【iTunes Store決済の場合には1,050円(税込)となります。】
その他には、Amazonプライムで視聴可能です。プライム会員になった場合は追加料金なしで視聴できるため『告白』をすぐ視聴できます。見逃してしまった人は是非この機会に視聴してみてください。
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映画『告白』のまとめ
この記事では、『告白』がどんな映画なのかや、見どころなどをまとめてきました。あなたの命に突き刺さりましたか?
娘を殺された中学の女性教師が復讐の鬼となり、復讐劇を繰り広げていくという暗く悲しいお話。中島哲也監督の計算つくされた画像の描写、森口先生の淡々とした語りに恐怖を感じます。
フィクションと言いきれない、加害者にも被害者にもなるかもしれないという感覚が恐怖を感じさせるのかもしれません。果たしてあなたにはどのシーンが一番印象的に残るのでしょうか?
『告白』を鑑賞してみたいという方は、ぜひhuluやAmazonプライムで鑑賞してみてください。