日本映画(ドラマ)

死者との再会を描く映画『ツナグ』を徹底解説!

「あなたがもう一度、会いたい人は誰ですか?」のキャッチコピーで2012年に公開された映画『ツナグ』は、全国306か所の劇場で公開され、映画観客動員ランキング一位を獲得しました。

今回は映画『ツナグ』をまだ観たことの無い方に向けて、本作の魅力をご紹介していきます。

この記事が『ツナグ』とアナタを“繋ぐ”キッカケになれば幸いです。ぜひ最後まで読んでみてください。

(アイキャッチ画像出典:https://extra-drama.com/until-the-break-of-dawn/?list)

『ツナグ』の作品情報

まずは、映画『ツナグ』の基本情報をご紹介していきたいと思います。

  • 公開日…2012年10月6日
  • 監督…平川雄一朗
  • 脚本…平川雄一朗
  • 主演…松坂桃李
  • 原作…辻村深月
  • 音楽…佐藤直紀
  • 上映時間…129分
  • 配給…東宝

監督・脚本を務めるのは『ROOKIES-卒業-』を手掛けた平川雄一朗、主演は松坂桃李です。

本作の特別試写会では、総勢1001人で「指切りげんまん」の最多人数記録に挑戦し、ギネス記録を達成しているとのこと。

『ツナグ』用語・設定解説

『ツナグ』の作中には、特殊な設定をもとにした独自の用語がいくつか登場するため、まずはその用語や設定の意味、”ツナグ”という存在にまつわるルールの解説をしていきます。

ツナグ

作中では「使者」とも呼ばれる、死者と生者を引き合わせることのできる能力を持った人のことを「ツナグ」という。その能力を活かして、生者と死者の仲介役を務める仕事をしている。

仕事の主な流れは、①故人に会いたい人から依頼を受ける、②故人側と交渉する、③故人了承後、面会の場を用意する、という三段階にわたる。

生者・死者ともに「ツナグ」の利用は生涯一度きりで、会う対象も一人までしか選べないという制約がある。

秋山家

主人公・渋谷歩美の祖母・渋谷アイ子の実家にあたる、占い一家。

かなりの財を成した一家で、社会貢献活動の一環として使者の仕事にまつわる経費等は全て、この秋山家が負担している。

当主の定之(さだゆき)はアイ子の兄。歩美からは大伯父の間柄にあたる。

『ツナグ』のあらすじ

本作の主人公でもある渋谷歩美は、ツナグの力を持つ祖母・渋谷アイ子のもとで見習いとして仕事を学んでおり、死者と依頼人との仲介役を任されていました。

そんな中、「死んだ人との再会をかなえてくれる、ツナグっていう人がいるらしい。」という噂を聞きつけて、半信半疑ながらもツナグへの依頼を持ち掛けてくる人々。

それぞれの思惑や、死者から生者・生者から死者へ向けた想いが交錯する時、お互いの心に何が残るのか。

そしてその人間模様の交差を見つめるツナグは何を想うのか、必見です。

ツナグとして重要な役割を担う登場人物

次に、『ツナグ』の中でも特に重要な役割を担う登場人物をご紹介します。(以下敬称略)

渋谷歩美役 松坂桃李

本作の主人公です。ツナグの役割を受け継ぐために使者見習いとして祖母・アイ子の元で学んでいます。

他人の人生に立ち会うツナグという仕事に対して様々な疑問や葛藤を持ちつつも、経験を積むことで徐々に成長して、ツナグへの理解を深めていきます。

そんな彼を演じたのは松坂桃李。幼い頃に両親を亡くした、あまり感情を表に出さない歩美の心の機微を繊細に演じられていました。

渋谷アイ子役 樹木希林

本作のもう一人の重要人物、現役のツナグです。ツナグの力は兄・定之から継承しており、自分の次は歩美に力を継がせようと考えています。

ツナグとしての経験も非常に豊富で、ただ依頼が来るのを待つのではなく、ツナグの力が必要な人を見抜いてツナグ側から依頼を促すことができるほど。

そんなキーパーソン・アイ子役を務めたのは樹木希林。「まだ未熟な歩美を時に支え、時に見守る良き指導者にして優しき祖母」を見事に好演されていました。

またアイ子は、歩美の両親の死についても何か知っていることがあるようで…?

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人と人を『ツナグ』予告編映像

本編の人間模様が少しだけ垣間見えた予告編映像です。色々な思惑や相手への想いが感じられますね。

映像を観て察した方もいるかもしれませんが、本編では様々な選択の場面があります。それが悔い無き選択になるのか、それとも後悔を残すことになるのか。ぜひ本編を観て確かめてください。

予告編のラストで主人公・歩美の大伯父である定之の放つ、「大切なことは心で見るんだ」の言葉が印象的でした。

きっと、本編を観終えた後にそのセリフの意味がはっきりとわかることでしょう。

69万部のベストセラーとなった原作小説

本作『ツナグ』には、辻村深月著の連作短編小説形式の原作が存在します。(出版:新潮社)

2010年に刊行され、第32回吉川英治文学新人賞を受賞。2014年2月の段階で69万部のベストセラーとなっています。

キャッチコピーは、「この喪失は永遠に取り戻せないのか――あなたが再会したい人は誰ですか?」

2014年2月発売の新潮社による小説誌「yom yom」から、続編である『ツナグ2』の連載も行われていました。(文庫版のタイトルは『ツナグ 想い人の心得』

『ツナグ』への世間の評価

ここで、映画『ツナグ』のネット上での評判を一部抜粋してお伝えしていこうと思います。

【高評価】

想うことを考えさせられる、とてもいい映画でした。

死んだ人と1度だけ会うことができる時自分は誰に会って何を伝えるのか。
それはお互いにとって本当に正しい選択なのかもし“ツナグ”が実在するなら……。
たくさんのことを考えさせられる作品でした。

登場する3組のエピソードに加えて主人公の両親の死の謎にまつわる、生死を見つめた物語に、深い感動を覚えました。

(出典:https://eiga.com/movie/58083/review/)

やはり全体的に、感動の声が目立ちましたね。自分自身の立場や経験に照らし合わせて観たり、想像しながら観たりと見方は様々でしたが、それぞれ心にくるものがあったようです。

【低評価】

SFファンタジーなのに、死者が現れても不思議な感じが全くしないのは致命的だと思います。何か軽いのにテンポが悪く長いです。

非現実的な設定と、ルールの話。再会するって、凄いことなのに、その割になんか薄い。

短編をつなぎあわせた映画でなんか物足りなさの残るものでした。もっと泣けるとおもっていましたが、泣く前に次の短編に進む、みたいな感じでしたね。

(出典:https://eiga.com/movie/58083/review/)

設定と描写の兼ね合いについてのコメントや、ストーリー構成が単調だという声も若干見受けられましたが、これは原作の短編仕様の形式を忠実に映画で再現しようとしたからなのかもしれませんね。

筆者が『ツナグ』を観た感想

人間にはそれぞれ見守る側と見守られる側があって、見守る側の目線は見守られる側には見えない景色なのでしょう。

だからこそ、お互いの想いを受け取るために我々は会話をしてコミュニケーションをとり、お互いを理解することで”繋がる”のだと思いました。

観る人の立場によって様々な本作の受け取り方があり、それぞれ違ったメッセージを感じることのできる作品だと思います。

どう受け取って、どう活かすか。それを温かく視聴者に問いかけつつ、委ねているような作品でした。

『ツナグ』の視聴方法

2020年3月現在、映画『ツナグ』は3つの動画配信サービスにて視聴可能です。その3つは以下の通り。

  • AmazonPrime
  • Hulu
  • dTV

上記のどの動画配信サービスも月額の利用料を払うことで、その動画配信サービスの持つコンテンツを自由に視聴することができるようになるというものです。

また、上記のいずれの動画配信サービスも入会後の無料お試し期間がありますので、ひとまず利用を始めてみて、合わなかったらやめるということが可能です。

ぜひご自身に合った動画配信サービスを見つけてみてくださいね。

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まとめ

今回は映画『ツナグ』の基本情報について、簡単に解説させていただきました。

本作は『命』や『絆』という重たいテーマを取り扱った作品のため、決して純粋に楽しめる内容ばかりではありません。しかし、キャスト陣の好演と、原作を丁寧に再現した脚本によって、素敵な物語になっています。

想いを”ツナグ”をコンセプトに作られた本作は、きっと身の回りの大切な人のことを考えるきっかけになるはずです。

ということで、この記事で気になった情報があった、興味がわいたという方はぜひ、本編を観てみてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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伊南地尋
伊南地尋と申します。(旧名クロ) デザイン、動画制作、楽曲制作、脚本・小説執筆などを勉強しつつ仕事にしているニンゲンです。 日本語を愛する者として、わかりやすく、誠実に、時に面白く執筆することをモットーにしています。