アメリカの南北戦争、リンカーン大統領の奴隷解放宣言。歴史の授業で、言葉は聞いたことがあっても奴隷制度がどのようなものだったかわかりますか?
「それでも夜は明ける」は、1人の黒人が誘拐され、12年間の奴隷生活で体験した過酷な日々が語られます。
映画「それでも夜は明ける」の概要
- 公開:2013年
- 上映時間:134分
- 主演:キウェテル・イジョフォー, マイケル・ファスベンダー, ベネディクト・カンバーバッチ
- 年齢制限あり:12歳以上
- 原作:ソロモン・ノーサップ「12 Years a Slave」
19世紀のアメリカで、1人の黒人バイオリン奏者が誘拐され、奴隷として12年間働かされた間にあった事実に基づく物語です。
2014年のアカデミー賞では9部門にノミネートされて、作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞しました。映画の製作には、俳優のブラッド・ピットが参加しています!
「それでも夜は明ける」の出演キャスト
主演キャストは、マーベルシリーズや、X-MENなどヒット作に出演している人ばかりで豪華な顔ぶれです!物語のカギを握る人物を演じる4名を紹介します。
キウェテル・イジョフォー(ソロモン)
「X-MEN」シリーズや「オデッセイ」などに出演。2019年公開予定の「ライオン・キング」では声優として出演予定。
マイケル・ファスベンダー(エップス)
「X-MEN」シリーズのマグニートー役など多くの映画に出演。スティーブ・ジョブズの伝記映画「スティーブ・ジョブズ」で、アカデミー賞同主演男優賞にノミネートされました。
ベネディクト・カンバーバッチ(フォード)
BBCのTVドラマ「SHERLOCK シャーロック」で、シャーロック・ホームズ役を演じています。「ホビット」シリーズや、「マーベル」シリーズにも出演。
ブラッド・ピット(バス)
「デッド・プール2」、「オーシャンズ」シリーズ、「ベンジャミン・バトン数奇な人生」などヒット作に出演。最近は、自身の制作会社PLAN Bで、映画の製作指揮などを務めています。
「それでも夜は明ける」のストーリー
舞台は1814年のアメリカ。妻と子どもと仲良く暮らしていたバイオリン奏者のソロモンは、当時「自由証明書」で認められた自由黒人でした。
彼は演奏旅行先で酔ってしまい、目が覚めたときは見知らぬ場所。彼は誘拐されて奴隷として売られたのです。ソロモンは農園で人種差別を受けながら他の奴隷と共に働きます。
彼は教養があったため、農園の主人に自分の考えや主張をするなど、奴隷の中でも優秀と認められました。しかし、農園主エップスなどから、「黒人のくせに」気に入らない、と暴力を受け、殺されかけます。
ある日、ソロモンはカナダから働きに出ている労働者バスと仲良くなります。ソロモンは、黒人も白人も平等だと主張する彼に「ある頼み」をしました。ソロモンは奴隷から無事に元の生活に戻れるのでしょうか?
原作者ソロモン・ノーサップについて
原作者のソロモン・ノーサップですが、その生涯について不明な部分があります。
映画の結末を言うと、ソロモンは12年の奴隷生活のあと、自由証明書を持つ黒人と証明され、無事に家族の元に帰ることができました。
エンドロールには、その後のソロモンの活動や生涯について次のように述べられています。
- 逃亡を手助けする組織「地下鉄道」を結成
- ソロモンを誘拐した実行犯2人を訴えたが、裁判自体が黒人に不利なもので敗訴
- ソロモンの死亡時期が不明
ソロモンの死亡時期が不明というのは、当時の情勢から暗殺されたと考えるのが有力です。映画でも多くの黒人が理不尽な理由で暴力を受けたり、殺されていました。
原作「12 Years a Slave」
ソロモンが自身の奴隷生活を書いた「12 Years a Slave」は、日本で映画が公開されるまで翻訳がありませんでした。
日本語訳が出版されたのは、映画公開後の2014年です。黒人奴隷の生活を描いた「アンクル・トムの小屋」の方が日本では有名ですが、私は「12 Years a Slave」を読むことをすすめます。
自由証明書を持った黒人がいたこと、当時の差別から生き残った人が、何を考えていたかを知る貴重な資料です。
19世紀のアメリカでの奴隷制度
映画の中では、当時の黒人を差別する発言や制度が登場します。私が見ていて特に気になった用語2つを紹介します。
①ニガー(nigger)
奴隷を売買する業者などが黒人へ呼びかける際に、「ニガー」という言葉が出てきます。英語では、”nigger”と書きます。日本語では「黒ん坊」と訳しますが、字からわかる通り当時の差別用語でした。
現在では、公の場でこの言葉を発言することは、タブーとされています。
②自由証明書
19世紀のアメリカでは、奴隷の黒人と、自由証明書を持つ黒人に立場が分かれていました。黒人は、所有者がいて日々売買されていました。自由証明書を持つ黒人は、所有者がいないため、奴隷ではありません。
誘拐される前のソロモンは、良いスーツを着て、立派な家に住んでいました。しかし、黒人というだけで自由証明書を持っていても売買されることがあったそうです。
「それでも夜は明ける」への評価・コメント
- Amazon:4.4
- Yahoo!:3.82
- 映画.com:3.7
平均以上の評価を得ています。コメントでは、「感動して見る映画ではない」「最後まで見るのがつらかった」「歴史を知るために見るべき」など現代社会に対する評価が多かったです。
私も映画を見たあとは驚きと戸惑いで、感動はありませんでした。当時のアメリカの情勢をよく理解していなかったことを身にしみて感じています。
「それでも夜は明ける」の視聴方法
Amazonプライムで視聴が出来ますが、字幕版のみになります。字幕版で見ると、19世紀のアメリカでの黒人に対する差別発言がわかります。
「ニガー」という言葉を見た時、黒人を指していることはわかりました。しかし、私は最初差別用語と知らずに見ていました。後で調べて黒人と表示しない理由がわかり、自身の無知にショックでした。
その他に黒人を「家畜」と呼ぶなど、セリフを見ているだけでも辛い部分が多いですが、歴史を正確に理解するためにも字幕版で見ることをおすすめします。
以下に動画配信サービスの特徴や料金をまとめた表を掲載しますので、併せてご確認ください。
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自由を目指した奴隷少女の物語「地下鉄道」
原作を調べていて偶然「地下鉄道」により農園の脱出を目指した少女の物語を見つけました。
- 原作:地下鉄道「The Underground Railroad」
- 作者:コルソン・ホワイドヘッド
- 出版:2017年
農園の奴隷として働くコーラという少女が、「地下鉄道」の助けを借り、仲間と共に自由を求めて北部へ逃げる小説です。ピュリッツァー賞を始め、多くの賞を受賞している作品です。
バラク・オバマ前アメリカ大統領もこの本にレビューを投稿しています。(”Terrific.”と表紙に記載があります)ソロモンが結成した組織の活動を知ることが出来る作品です。
「それでも夜は明ける」への感想
見終えた時は、衝撃が大きかったです。アメリカで奴隷制度があり、人種差別が現代まで続いていることは勉強していました。しかし、映像で見るとショックで、辛いシーンもありました。
事実に基づいた物語ですが、当時の人種差別は想像以上に酷かったでしょう。また、「自由証明書」という書類があったことも初めて知り、私の奴隷制度や黒人への差別理解が表面的だと痛感しました。
映画は奴隷制度の一部を表現しているにすぎません。ただ、黒人がどれだけ過酷な環境で働かされていたかを理解出来る貴重な映画で、一度は見ることをおすすめします。