本記事では映画「涙そうそう」の概要についてご説明したいと思います。
『まだ観たことが無い!』という方に向けて、ネタバレにならない程度に情報を整理しつつ興味をそそる内容を提供していきます。
(トップ画像出典:https://eiga.com/movie/33425/photo/)
映画「涙そうそう」の作品情報
映画「涙そうそう」は、2006年に公開されました。森山良子さんによって作詞された歌謡曲『涙そうそう』の世界観をもとに、TBSテレビ50周年記念企画「涙そうそうプロジェクト」として映画化された作品です。
血のつながらない兄妹である新垣洋太郎(あらがきようたろう)・カオルの二人が、自身を取り巻く環境に翻弄されながらも懸命に生きる様が描かれています。
沖縄県那覇市が舞台として描かれており、陽気で快活な街の人々や沖縄ならではの美しい風景が見どころの一つとなっています。
映画「涙そうそう」のあらすじ
この映画では、何回かに分けて時系列が変化していきます。洋太郎・カオルの幼少期を描いたシーンから青年期、そしてその後という描かれ方です。
幼少期~青年期
洋太郎の母である光江が、カオルの父である金城昭嘉と再婚するところから、この物語は幕を開けます。洋太郎とカオルは血のつながりが無いながらも、実の兄妹のように仲睦まじく過ごします。
しかしある時突然、父・昭嘉が失踪。そして母・光江もほどなくして病に冒され、他界してしまいました。
まだ幼いにもかかわらず取り残されてしまった二人ですが、亡くなる前の母・光江の「守ってあげてね」という言葉を胸に、兄・洋太郎は懸命に妹・カオルを支えるのでした。
その後
時は現在に移り、高校を卒業して沖縄本島に渡った洋太郎は、自分の店を持つことを目標に多忙な日々を送っていました。そんな中、本島の高校に合格し、洋太郎のもとに身を寄せることになったカオル。
洋太郎の彼女である恵子や友人の勇一と共に、どこか騒がしくも穏やかで満ち足りた生活を送ります。
そんな中、居酒屋で自身の店を持つという目標について話していた洋太郎に、「力になれるかもしれない」と話を持ち掛ける亀岡という男。
この転機を皮切りに、二人の兄妹は運命の荒波に巻き込まれていくことになります。
主題歌「涙そうそう」について
主題歌である「涙そうそう」。沖縄の情景を想起させるこの楽曲を実際に耳にしたことのある方は多いでしょう。
製作ストーリー
息子に「さくら(独唱)」で有名な歌手・森山直太朗氏をもち、自身も歌手・タレント活動を行う森山良子氏が作詞。アコースティックバンド・BEGINが作曲を手がけました。
楽曲制作のきっかけとなったのは、森山良子氏がライブでBEGINと共演し親睦を深めた際に、「沖縄の楽曲を作ってほしい」と依頼をしたことです。
そして完成した楽曲に森山良子氏が、若くして亡くなった自身の兄への想いを綴った詩をつけたことで「涙そうそう」は完成します。
夏川りみによるカバー
ある時沖縄サミットのTV中継を観ていた夏川氏は、本楽曲「涙そうそう」を歌うBEGINの姿を目にします。
中継を観て以降「涙そうそう」のメロディが頭から離れなくなった夏川氏はライブ後のBEGINの楽屋を訪ね、「涙そうそう」を歌わせてほしいと直接依頼したそうです。
「それなら改めて曲をつくる」と、新しい楽曲「あなたの風」を提供されるもやはり「涙そうそう」に拘り、ついに改めて許可を得てカバーが実現しました。
このカバーによって沖縄から徐々に人気の輪が広がり、ついに全国的に認知されるに至ったのです。
苦労人の兄・洋太郎役は妻夫木聡
主人公である兄・洋太郎役を誠実かつ爽やかに演じるのは、妻夫木聡氏。
1998年のテレビドラマ「素晴らしい日々」にてデビューを飾り、その後2001年公開の映画「ウォーターボーイズ」で映画初主演。気弱でナイーブな高校生・鈴木智を好演したことで一躍注目を浴びました。
また、2010年公開の映画「悪人」で日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞、ブルーリボン賞 主演男優賞受賞。
更に2016年公開の映画「怒り」で日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞しており、幅広い作品で活躍されている実力派俳優です。
天真爛漫な妹・カオルには長澤まさみ
同じく主人公であり、洋太郎の妹であるカオル役を演じるのは長澤まさみ氏。
長澤氏は1995年度、東宝主催の第五回「シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し芸能界デビュー。そしてその同年公開の「クロスファイア」で映画デビューを飾ります。
そして本作「涙そうそう」で、日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞されています。妻夫木さん同様、人気・実力共に申し分無い素晴らしい女優です。
主役二人を囲む素敵なキャスト陣
さらに、この「涙そうそう」の魅力的なキャストは主演のお二人だけではありません。
洋太郎の実母である新垣光江役に小泉今日子氏、光江の再婚相手でありカオルの父の金城昭嘉役に中村達也氏。洋太郎の恋人・稲嶺恵子役に麻生久美子氏、洋太郎の親友・島袋勇一役に塚本高史氏。
そして、洋太郎の運命をかえることになった発端、亀岡役には船越英一郎氏が友情出演されています。
また、幼少期の洋太郎を演じた広田亮平氏、同じく幼少期のカオルを演じた佐々木麻緒氏・春名風花氏の好演にも注目です。
映画「涙そうそう」から見た沖縄の魅力
この作品の撮影は、那覇市をはじめとした沖縄本島の比較的広範囲にわたって行われています。例えば、主役二人の成長後のシーンから印象的な、洋太郎が働く市場は那覇市樋川にある農連市場です。
また、洋太郎の配達シーンは大半が那覇市牧志で撮影されています。市街地でのシーンは那覇市を主なロケ地として利用しているようですね。
それとは別に、海を臨む景観が美しいシーンの数々は中頭郡や国頭郡といった地域で撮影されています。洋太郎が暮らしていた家はセットとして組まれていたもののため、現在は存在しません。
豊かな自然や沖縄ならではの街並みを見に、観光がてら『聖地巡礼』するのも良いかもしれません。(※巡礼の際は、近隣にお住まいの方のご迷惑にならないよう、節度を守って楽しみましょう。)
映画「涙そうそう」への世間の評価
インターネット上に掲載されていた感想を、いくつか抜粋してご紹介していきます。
『有名だけど観たことなかったなあ〜と思って、ワクワクして観ちゃったんだけど、こんなに愛が詰まってるとは思ってもなかった、泣きました』
『兄に〜って呼ぶカオルが可愛すぎる、兄妹やけどもっと深い愛情で結びついてるのが、痛いほど伝わってくる、それがすごく良い。ラストはやり切れない思いで一杯になりますが不思議と心穏やかになれました』
『展開が急であまり現実的ではないなぁと思いました。だけど人の、兄妹の、沖縄の”あったかさ”とか、何に対してもまっすぐで一生懸命だけど空回りする、愛がある人の物語にじーんってきて結局涙出ました』
出典:https://filmarks.com/movies/9366
といったものがありました。やはり、このキャスト陣ならではの雰囲気やシーンの描き方に心を奪われた方は多いようですね。
映画「涙そうそう」を実際に観た感想
以下は筆者自身が実際に本作品を観た上での感想です。一意見としてこれから「涙そうそう」を観る方の参考になれば幸いです。
筆者自身の感想
あたたかな沖縄の地で生きる兄妹の美しき愛と、ままならない現実。
どこかお互いにとっての理想的な幸せをつかみきれないながらも、それでも懸命にお互いを想い合う二人の姿がとても印象的でした。
自らの全てを捧げるかのように献身的に妹の面倒を見る洋太郎と、そんな兄に負担をかけまいと自立しようとするカオル。お互いを想い合うがゆえにすれ違う。そんな二人の生きる姿が儚くも美しい、そんな作品です。
特に兄・洋太郎の生きる姿勢。どんな災難が降りかかろうと、周囲の人間や自身の運命を呪うことなく、しゃんと顔を上げて生きる姿に胸を打たれました。
まとめ
以上が映画「涙そうそう」の概要まとめになります。沖縄が好きな方、爽やかな涙を求めている方、美しい兄弟愛や友情・絆を描いた作品を求めている方、必見です。
キャストも名だたる名優がそろい踏みで、非常に見ごたえのあるお芝居をされています。濃密な人間関係の描写と、美しき沖縄の景観がたくさん詰まっている作品です。
動画配信サイト等でも取り扱いがあるようです。執筆現在、Amazon prime やU-NEXTなどで観ることができました。(筆者はAmazon primeで観ました)
是非この機会に、名作「涙そうそう」をチェックしてみてはいかがでしょうか。