2017年に日本で大ヒットを記録した『ラ・ラ・ランド』。その作品で主演を務めたライアン・ゴズリングが、『ラ・ラ・ランド』に出演する10年以上前に主演を務めた映画が『ハーフネルソン』です。
今回は『ハーフネルソン』をまだ観ていない方の為に、この映画のあらすじや登場人物を紹介していきます!
(トップ画像出典:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3-DVD-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%82%BA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/B071J2XVT3)
『ハーフネルソン』の概要
- 公開日:アメリカ…2006年8月11日/日本…2017年6月17日
- 主演:ライアン・ゴズリング
- 監督:ライアン・フレック
- 脚本:アンナ・ボーデン/ライアン・フレック
- 製作:ジェイミー・パトリコフ
- 配給:アメリカ…シンクフィルム/日本…彩プロ
- 上映時間:106分
『ハーフネルソン』は2006年にアメリカで公開されたドラマ映画です。主演のライアン・ゴズリングの『ラ・ラ・ランド』が大ヒットした影響か、日本では11年越しの2017年に公開されました。
元は19分の短編映画『Gowanus, Brooklyn』
この映画は、ライアン・フレックとアンナ・ボーデンという男女2人組の映画製作者が、2004年に製作した19分の短編映画『Gowanus, Brooklyn』を元に作成されました。
『Gowanus, Brooklyn』は同年のサンダンス映画祭で上映され、短編映画部門審査員賞を受賞します。
これをきっかけにライアン・フレックとアンナ・ボーデンはサンダンスの映画研究室に招待され、専門的な脚本指導を受けて『ハーフネルソン』を書き上げました。
完成した『ハーフネルソン』は2006年1月にサンダンス映画祭で先行プレミア上映されました。
『ハーフネルソン』のあらすじ
中学校で歴史を教えている社会科教師でバスケ部コーチのダン・デューンは、カリキュラムにとらわれない自由な授業スタイルで生徒達から大人気でした。
ある日、バスケの試合で惨敗してしまった子供たちを明るく励まして帰宅させると、ダンはトイレの個室でコカインを吸引します。するとそこにバスケ部員の女子生徒ドレイがトイレをしに戻ってきました。
コカインがキマって体の自由が効かなくなっていたところを目撃されてしまいますが、意外にもドレイは冷静でした。何故かというと彼女の兄は麻薬密売で逮捕されており、薬物が身近な存在だったからです。
先生の秘密を知ったドレイは事あるごとにダンに声をかけ、次第に仲良くなっていきます。薬物の快楽に溺れていたダンは、ドレイという友達が出来た事で薬物依存から抜け出そうと頑張り始めるのでした。
『ハーフネルソン』の登場人物
ダン・デューン (演:ライアン・ゴズリング)
主人公の中学教師。堅苦しいのが嫌いでマイペースに授業を進めるので他の教師から注意されてます。若い頃に手をつけた薬物が辞められず、生徒のおかげで理性を保てていると苦悩しています。
日本では『ラ・ラ・ランド』で一躍有名になった人気俳優のライアン・ゴズリングですが、「ハーフネルソン」での主演は子役時代の殻を破る大きな転換点となりました。
ドレイ (演:シャリーカ・エップス)
ダンがコーチをしているバスケ部の少女。複雑な家庭環境で育ち、兄は麻薬の売人として逮捕され刑務所にいます。無愛想に見えますが心を開いた人には笑顔を見せる可愛らしい女の子です。
シャーリカ・エップスはこの映画がデビュー作で、他には『エイリアンvsプレデター レクイエム』『American Milkshake』などに出演しました。
フランク (演:アンソニー・マッキー)
ドレイの家の近所に住む兄貴分のような存在。陽気で面倒見が良くドレイもよく懐いていますが、彼も麻薬を取り扱う仕事をしており、ドレイも兄のような売人として利用しようと考えています。
演じたアンソニー・マッキーは『アベンジャーズシリーズ』のサム・ウィルソン/ファルコン役を代表作とする黒人俳優です。
ダンとドレイの関係性の変化に注目
物語冒頭ダンの心の拠り所は薬物しかなく、ストレスがたまると、良くないこととわかっていながらついつい薬に手を出してしまい、身も心もボロボロになりそうでした。
ドレイは友達がおらず、家に帰っても母親は仕事に出ずっぱりで常に孤独でした。そんなダンとドレイは『薬物』を通してお互いを意識するようになります。
最初は教師という立場から遠慮したり、孤独のあまり冷たい態度を取ってしまう2人でしたが、薬物以外の心の支えと孤独を埋めてくれる人という関係からだんだんと打ち解けていきます。
「自分も兄のように売人になるのか」と不安がるドレイに、ダンは自分が薬物中毒者でありながら少女を薬物に関わらせまいと守ろうとするのでした。
なぜ『ハーフネルソン』というタイトルなのか
『ハーフネルソン』とは肩と首を同時に拘束するプロレス技で、日本語では『片羽交い締め』といいます。両肩なら『フルネルソン(羽交い締め)』、片側だけなら『ハーフネルソン(片羽交い締め)』です。
フルネルソンで締められると身動き出来ませんが、ハーフネルソンは片側は自由なのでもがけば脱出する可能性があります。
意志が弱いせいで誘惑に負けて何度も薬を使ってしまうダン。ですが辞めたいと思う気持ちもちゃんと持っていて、いつか綺麗な自分を取り戻したいと思っています。
『ハーフネルソン』というタイトルはダメな自分に負けて何度絶望しても、もがき続ければいつか変われるかもしれないという小さな希望を示しているのでしょう。
『ハーフネルソン』の評価
『ハーフネルソン』は海外で高く評価されています。アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは支持率90%の平均7.8点、Metacriticでは85点を記録しました。
映画そのものと役者のライアン・ゴズリングにシャリーカ・エップス、監督のライアン・フレックは特に称えられており、アカデミー賞やゴッサム賞など合計23の賞にノミネートされ、内11も受賞しています。
ジョージア州に本社があるデジタル雑誌『Paste Magazine』の『2000〜2009年の10年のベスト映画50』という企画では16位にランクインしました。
(参考:https://www.pastemagazine.com/blogs/lists/2009/11/50-best-movies-of-the-decade-2000-2009.html?p=2)
『ハーフネルソン』を視聴した人の感想
アメリカでは大変好評な『ハーフネルソン』ですが、日本の映画批評サイトを調べてみると映画.comでは3.2、Filmarksでは3.4、Yahoo!映画では3.17と平均的な評価に止まっています。
どんな意見が集まっているのでしょう?実際に映画を見た人の感想をいくつか紹介します。
歴史や相対理論を教え一見まともに見えるが私生活は乱れコカインにはまり仕事にも支障が出ている教師。他方、家を出てコカインの売人をしている兄を持つ母子家庭の教え子の女の子。
話しは授業や私生活を淡々とみせる展開で、生徒の女の子側の気持ちや境遇には考えさせられる部分もあるが、教師側は最初から堕落しており同情出来るものがなく惹かれない。
(引用:https://eiga.com/movie/87023/review/)
うーんラストはわりと好きだけどそれまでの展開が地味すぎるというか何も起こらないので先への期待も何も無い ショートフィルム並の話を1時間半見せられ続けた感じ 主人公の虚無感とかは伝わったけど別に良くはない
ドラッグフィルムとしてトリップできる程の没入感も無い
全体的に薄味(引用:https://filmarks.com/movies/56825?page=2)
ララランドの大ヒットのお陰で ずっと観たかった10年前のこの作品が観られて本当に嬉しい。
善と悪とに分けられない生身の人間をライアン ゴズリングが繊細に演じきっていて心に響きました。
この映画でアカデミー賞に初めてノミネートされたのも納得の彼の演技と存在感に圧倒されました。(引用:https://movies.yahoo.co.jp/movie/327024/review/?sort=lrf&page=2)
日本の社会では薬物があまり馴染みがないので、それに苦しむ主人公の姿はあまりピンとこなかったようですね。元が19分の短編映画を長編に書き換えたことで、ストーリーが中だるみ気味なのも気になるところです。
若い頃のライアン・ゴズリングが観られるので、彼のファンはそれだけで十分楽しめるかもしれません。
『ハーフネルソン』をインターネットで視聴する方法
『ハーフネルソン』は2019年9月現在、以下の配信サイトで視聴することができます。ちなみに筆者はamazon prime videoの吹き替えで視聴しました。
- amazon prime video
- Video Market
- TSUTAYA TV
サイトによって作品ラインナップや受けられるサービスが異なりますので、自分の希望に沿った配信サイトを利用してください。
『ハーフネルソン』の紹介まとめ
あなたには『ダメだとわかっているけど辞められない』ものはありますか?一時的な快楽の誘惑は計り知れず、ほとんどの人はそれに勝てません。
ダン・デューンはその対象が薬物でしたが、負けたままでいるのも立ち向かうのも自分次第です。『ハーフネルソン』には「自分に負けるな」というメッセージが込められているような気がします。
ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事を読んで『ハーフネルソン』への興味が高まり、実際に映画を見て貰えるようになれば嬉しいです。